の状態で、特にジャニーズ事務所と吉本興業、エイベックスとAKBの系列が主演
をするようになった昭和後期から酷くなったように感じています。

出演者の演技も駄目ですが、ストーリーも安直で、撮影や照明、特殊効果などの
技術系スタッフも外注で済ませて基本的な育成をしていないのがバレバレの状況
なので、映画館に行ってお金を払う気にはならないですし、動画配信でも有料で
日本の映画を観ようとは思わないです。
そうは言いながらも昭和30年代から50年代ぐらいまでの日本の映画には監督の
演出力や今よりも予算が付けられていたような気がするので、いかにもセットと
分かりすぎる安っぽい部屋で映画を作ったりしているのが残念です。
という愚痴を書いていても仕方がないので、1969年に公開された時代劇映画の
「新選組」の話を書くことにします。
製作は三船プロダクションで配給が東宝ということで、この時代には俳優が企画
して映画を作るというプロダクションシステムがありました。
石原裕次郎さんの石原プロモーションと、三船敏郎さんの三船プロダクションが
双璧という感じでしたが、次第に複数の会社が製作委員会という組織で資金調達
をして映画を作るというシステムに代わり、リスクの分散化を図る一方で企画を
推し進めるコアとなる人材が育成されていないために、結局は低予算である程度
名前を知られたタレントを主演にして大ヒットを狙うでもなく、赤字を出さない
ことを最優先にキャスティングをして、クレーマーに因縁を付けられないように
激しい主張やハードかつエロティックなシーンを割愛して、パンチラ程度の露出
を失笑レベルで予告編で見せるような映画が主流になっています。
また、脱線したので戻さなくてはいけません。
今回観た映画は新撰組の結成から、ご乱行が過ぎた初代局長の芹沢鴨の暗殺から
池田屋事件、伊東甲子太郎暗殺、鳥羽伏見の敗戦、下総国流山で局長の近藤勇が
官軍に降伏し、その後、板橋刑場で斬首されるまでを約二時間にまとめた作品で
今は亡き(ほとんどの方が鬼籍)有名俳優が新選組隊士として出演しています。
ドラマの「日本沈没」で、冷静な優秀な科学者である田所博士を演じた小林桂樹
が冷酷な土方歳三役、美青年の沖田総司を北大路欣也役だったりして、新選組で
実在した人物の実年齢よりも高めの年齢の人が演じている感じがします。
ただ、芹沢鴨役の三国連太郎は適役だと思いました。
映画で描かれているシーン以上に新選組は京都守護役として長州・薩摩の隊士や
芹沢鴨の一派のように町民も容赦なく斬り捨てていましたから、討幕派だけでは
なくて、一般の町民からも相当恨みを買っていたのは確かだと思いますので官軍
内部の除名嘆願が認められなかったのも致し方なしとは思う反面、日本の将来を
憂いて佐幕派として戦った新選組隊士をいまだに逆賊(反日分子)扱いしている
靖国神社とか、護国神社なんてのも結局は勝てば官軍的発想なわけで、国体維持
のために戦った憂国の志士を祀っているという見方は間違っていると思います。
時代背景を織り込みつつ「誠」の旗のもとに結集する純粋な新選組隊士の映画に
なっていますが、局長の近藤勇は地元に妻子がありながら京都では芸子を囲って
いたという部分についても映画の中で描かれていて、本当に堅物で俗人ぽさなど
全く感じられないような映画ではなかったのが良かったです。
コメントありがとうございます。
三国連太郎の芹沢鴨は、はまり役だと感じました。
義を振りかざしながら町人から金銭を収奪し、人妻との逢瀬の寝部屋で
土方歳三、沖田総司、山南敬助らに暗殺される件は、三国連太郎演ずる
芹沢鴨であるが故のリアリティ(事実は判りませんが、いわゆる伝承の
新選組のイメージに最も近い感じ)がしました。