ヨン・サンホが2011年に製作したアニメーション「豚の王」を、2022年に設定
を変えてドラマ化したのが、この作品です。
映画「神と共に」の誤射で殺害される軍人役、ドラマ「チェックメイト」の特別
労働監督官、そして、現在 Disney+で配信されている「ソウルバスターズ」の
知的な強力班の班長役など、多彩な役柄をこなしているキム・ドンウクが主役の
連続殺人犯人のギョンミンを演じ、マ・ドンソク主演の「悪人伝」で連続殺人犯
を演じていたキム・ソンギュが、ギョンミンの殺人を止めようと疾走する刑事の
ジョンソクを演じています。
中学生の頃に生徒会長、学級委員長と、その取り巻きに凄惨な虐めを受けていた
ギョンミン、ジョンソク、そして学校から飛び降り自殺をしたチョルの卒業から
20年後、アン・ジョンヒという中古車販売会社の社長が殺害されます。
次の犠牲者はカン・ミン、元学級委員長で金持ちの息子であることをいいことに
取り巻きの連中と一緒になってギョンミンたちを傷めつけていましたが、チョル
の逆鱗に触れて逆襲に遭って怪我をすると、学校に来たカンの父親が、チョルを
殴りつけ、担任教師も一緒になってチョルだけを責めるという教師として最低な
経済格差による差別をして、チョルに停学処分にするという前歴がありました。
ギョンミンはカン・ミンを拉致し、その取り巻きだった二人の元同級生も拉致し
直接手を下すことなく、ネットの掲示板を利用することでカン・ミンの社会的な
信用を失墜させ、自殺に追い込んで二人目の復讐を果たします。
というような感じで、20年前の陰惨な虐めに関連した元同級生がさらに殺害され
ギョンミンの最後の復讐相手が明確になります。
というところで、ネタバレになる前にドラマの内容の話は終わりにします。
20年前の虐めの復讐のために、そこまでするだろうかという感想が映画サイトで
見受けられましたが、50年前の理不尽な学校での暴力を私は覚えています。
ですから、ギョンミンには共感します。
さすがに殺そうとは思いませんが、小学生の時に意味もなく殴りつけられた相手
の名前も、中学生の時に言いがかりをつけて殴ってきた相手の名前も同級生たち
を扇動して虐めをそそのかした相手の名前も覚えています。
同窓会で見かけたら平穏な気持ちでは見られないと思いますが、幸か不幸か中学
の時の同窓会は開催されているのか、呼ばれていないのかわかりませんが、出席
したことがありませんので、それはお互いにとって幸せなのかも知れません。
虐めの傷というか恨みは虐めた方は絶対に覚えていません。ドラマと同じように
虐めていた相手は教師の受けが良く、親も金持ちだったのが笑えます。
人間の本性は、ドラマの中で表現されるように薄っぺらいもののようです。
「豚の王」というタイトルは、支配者側を犬と呼び、支配される側を豚とチョル
が比喩しているわけですが、ただ、支配されるだけの豚ではないと反抗していた
チョルこそが「豚の王」だったという意味ではないかと理解しました。