作業員がゴンドラの中に取り残されるという事故が発生することがあります。

大概の場合は横に仮設ゴンドラを降ろして救出するとか、窓から消防隊員が救出
するという救助作業が行われ、無事助け出されますが、最悪の場合はゴンドラが
傾いて作業者が転落するなんて事故が起きたこともあります。
意外にこのような事例は発生していて、実際に作業する人の身になって安全性に
配慮をして、もっとしっかりと整備したらどうなんでしょうかね?と思いますが
管理者が悪いのか、完全に改善されているとは言えない状況が続いています。
労災に対する認識の甘さは、過去に多くの人が亡くなっていても本気で取り組む
ことをしない日本の経営者のダメな部分だと思いますが、それはともかく。
ゴンドラの動きが止まっただけならば、いつかは助けてもらえるだろう...という
余裕もあるかと思いますが、冷たい寒空の中とか、猛暑でくらくらしそうな時に
宙づりになっていたらトイレに行くこともままならず、水分補給も出来ないので
そんなことは絶対にならないように日頃の点検をしてほしいですよね。
ただ、このようにゴンドラを使う窓拭きの場合は、ゴンドラのロープが切れたり
余程の機械的なトラブルが無い限り転落の危険性は少ないと思います。
が、中途半端な高さのビルの場合はゴンドラを使わないので、より命懸けな仕事
になりますが、あまり目立たない仕事なので、世の中では知らない人も多いかも
知れないなと思います。
昔、高校生の頃にアルバイトをしていた清掃業者は、高いビルでも8階建てまで
ということで窓拭きをするためのゴンドラは設置されていませんでした。
では、どのようにして窓を拭くのか?と言いますと、窓枠に両手で掴まって窓の
外側を伝いながら、片側の手に持った濡れ雑巾で窓を濡らしてポケットに入れた
水切り(スクイジといいます)で水を切って窓を拭くわけです。
窓拭きの仕事って内側だけではないですからね。騙されちゃダメですよ。
そんな危ないことは無理!と言いましたら、窓枠を跨いで拭くことまでは許すが
それだと外側がきれいに拭き取れないから可能な限り外側に出て窓を拭くように
と言われ、窓の内側に重心をかけるように気を付けながら作業をしました。
それでもバランスを崩せば、外側に落ちるわけで危険のレベルにそんなには差が
あるとは思えませんでしたが、それが仕事の仕方だと言われれば、アルバイトの
高校生が逆らえるわけもないので、危険だとわかっていてもやるしかないです。
8階建てのビルに5人で行って上から順に好きな階を選んで窓拭きをする、という
仕事の時には有無を言わさず3階を選びました。
理由は単純で、上から5人で割り振って一番低い階が3階だったからです。
不思議なことに一緒に仕事をしていた人たちは、危険だとは感じていないようで
好きな階を選んでいいよと最優先で選ばせてくれました。
どうせ落ちるなら少しでも生存する確率が高そうな低層階を選ぼうという考えで
3階を選びましたが、今になって考えると8階でも3階でも落ちたらコンクリート
の歩道の上に落ちるわけですから死ぬのは一緒のような気がしますね。
そんな作業環境の中でも、特に困難を伴ったのは窓を開けられないビルです。
そういう場合は、ブランコ=空中ブランコのような作業道具に、なるべく体重の
軽い人を乗せて屋上から吊り下げて窓拭きをするわけです。
そのロープを支えるのも人で、左右で人がロープを持ちバランスを取りながら下
に降ろしていくというもので絶対に無理な話でした。
人の命を支えるロープも持ちたくはないので辞退しました。
自分が手を滑らせてロープを放してしまった結果、死んだり重傷を負って後遺症
が残るなんてことになったら一生悔いが残りますから無理です。
毎日が命懸けみたいな仕事でしたが、フロアの掃除の時にはビルに勤める女性の
従業員の方々がお菓子をくれて、話をしたりする時間があって高校生にとっては
きれいなお姉さんと話が出来てとても嬉しい時間でした。天国と地獄ですね。
そんなアルバイトを春休み期間にしましたが、来年も来いよと言われても明確な
返事をすること無く、きれいなお姉さんはとても魅力的でしたが、命には代える
ほど親しいわけでもないので、二度とそのアルバイトはしませんでした。
ゴンドラが宙づりになったというニュースを見聞きする度に、数十年前の春休み
のアルバイトの時の死ぬかと思った怖さを思い出します。
コメントありがとうございます。
消防士とか警察官とか、世の中に危険な仕事はいろいろありますが
たぶん、窓拭きの仕事は危険度と比較して、もっとも収入が低い仕事の
一つなのではないかと思います。