本格的なジビエ(野鳥・野生動物)料理の時期になります。

日本においてもヨーロッパほどは種類が多くはありませんが、鴨や猪、鹿など
野生の鳥獣類を食材として利用することが可能(狩猟の解禁)な時期ではある
ものの、若者の猟離れ(そもそも猟銃の所持免許を取るのが大変ですし、罠の
技術を伝承する猟師も少なくなっています)で存続が危うくなっている猟友会
も少なくないというのが日本の現状なんだそうです。
欧州(主にフランスなんですが)では、フランスのトゥールダルジャンの鴨の
血液を使ったソースで有名な料理など、野生鳥獣類を使った料理は重要視され
それぞれの地域毎の特徴的な郷土料理にも、野うさぎや、きじ、うずらなどの
野鳥を使ったレシピまで多くの種類がありますから、獲った獲物を適切な価格
で販売するルートがあるのに対して、日本では野生動物に対する適正価格自体
がないようなものなので、猟師で生計を立てるのは並大抵のことではなく猟師
の知り合いでもいない限り若者には最初から無理な仕事だと思います。
ヨーロッパのフランスに対して、アジア地域でフランスに匹敵するような素材
とレパートリーのある国を考えると、良くも悪くも中国が挙げられます。
この国では、広州から伝わった言葉として四本足で食べないのは机と椅子だけ
二本足で食べないのは両親だけ、空を飛ぶモノで食べないのは飛行機、そして
水中のモノで食べないのは潜水艦だけだ、という話があるぐらいで、いわゆる
ゲテモノ料理もその範囲に入ってしまいますから、中国の食材を書くとジビエ
とは違った世界の話になると思うので自粛します。
フランスでも日本でも、野生鳥獣の中では鴨はもっともポピュラーな食材だと
言っても過言ではないと思いますが、野生の鴨類の場合は保護政策の関係から
狩猟禁止になっている地域が増えてきているため、食材としては人工飼育の鴨
が育成されていますし、より野性味を少なくすることと歩留りの向上を目的と
してアヒルとの交配種の合鴨の肉が広く流通しています。
世界的な傾向として、野生鳥獣類をむやみに殺すべきではないという考え方が
多数を占めてきていることもあり、野生の鴨を撃つのではなく、家禽化された
合鴨を利用する傾向が高くなってきていますが、野趣のある風味を求める人の
中には、自然界で育った天然物にこだわる人がいるのも実際のところです。
鴨はフランス料理では、主にロースト用の食材として利用され、血液と骨髄を
使ったソースや、鴨肉の焼き汁にオレンジで風味をつけたオレンジソースなど
で食べるようですが、個人的には食べたことはありません。
日本では「カモネギ」=鴨がネギを背負ってくる、という言葉があるほど鴨肉
はネギとの相性が良いとされていて主に鴨鍋にして食べられています。
一般に市販されている鴨肉の場合は、大部分が合鴨ですから食肉として処理は
されているので、購入後はそのまま料理に利用することが可能ですが、狩猟が
解禁されて猟銃で射殺された鴨の場合は一定期間の熟成をしないと食肉として
利用することが出来ないそうです。(イノシン酸の分解を待たなければ肉自体
の美味しさを味わえないようです)
以前に、間違って投網にかかった鴨の肉をもらったことがありましたが、溺死
した鴨だったので血抜きがされておらず、臭くて不味かったです。
狩猟で仕留めた鴨のように血抜きをして、熟成させないとダメみたいです。
個人的には合鴨をレア程度に焼いてから、ワサビ醤油とか生姜醤油でシンプル
に食べるのが手間がかからなくて良いのですが、料理の過程にこだわる人には
そんなのは料理じゃないと怒られるかも知れません。
ちなみにヨーロッパでは「ジビエ」と呼ばれている野生動物の肉のことを中国
では「野味」と表現しますが、この表現についてはあまりにも適切で昔の中国
の人は現代の中国人よりもセンスがあったんだなと思います。
コメントありがとうございます。
ウサギ肉は子供の頃に、茶碗蒸しに入っていた毛が生えているお肉が
衝撃的だったので、トラウマとまでは言いませんが、お肉としては少々
抵抗があったりしますが、子供の頃に食べていたソーセージには普通に
ウサギ肉が混ぜてあったみたいなので、多分食べていたと思います。
シカ肉をローストしたのは美味しいですね。
カレーにもしたことがありますが、脂身が少ないので個人的には好きな
タイプの肉質だと思います。
イノシシは、いわゆる牡丹鍋にすると濃厚な味噌鍋になりますが意外に
美味しいのは焼肉のたれで食べる焼肉でした。
なんて感じで、当然、自分で狩ったわけではありませんが、割とジビエ
を食べているんだなと再認識しました。