いるフカヒレ(サメのヒレ)を獲るだけのために、世界の海域でサメの仲間が
漁獲され、年間では7,300万匹が殺されているという現実があります。

サメは、ほとんどの国で食材としては流通していませんから、船上へと水揚げ
されたサメは、尾びれ、背びれ、腹びれ、胸びれなどの主要な「ひれ」だけを
生きたまま切り取られた後、そのまま海に投棄されます。

基本的に魚には痛覚がないとされていますから、ひれを切り取られても痛みは
感じないかも知れませんが、泳ぐための機能が失われているので、泳ぐことは
出来ず、サメは浮袋もないので沈むだけです。
サメは魚類ですからエラ呼吸をしますが、一般的な魚のように一カ所に留まり
パクパクと呼吸するのではなく、口を開いたまま泳ぐことで新鮮な水の中から
酸素を取り込むという呼吸法ですから、魚類でありながら呼吸の出来ない状態
になっている上に出血して衰弱し水の中で溺れ死にます。
サメは怖い肉食魚だから地球上から絶滅したとしても問題がないと考える人が
いるかも知れませんが、地球はもちろん人間だけの棲む惑星ではなく、多様な
生物が共存することで成り立っている星ですから、サメが絶滅するということ
によって地球の生態系のバランスは崩れて、最終的には人類の生活にも大きな
影響が出ることは必至だと思います。
人類が生きていくための必須栄養として、絶対に食べなければ死ぬという類の
食材ではないフカヒレを無制限に獲り続けるということは、人類の自殺行為で
しかないと見ていますが、そう考えない人は多いようですね。
日本でも、宮城県の気仙沼は世界有数のフカヒレの産地としてヨシキリザメが
大量に漁獲されて加工されていますが、中国の漁船とは違って漁獲したサメを
海洋投棄することはなく身肉も蒲鉾などの原料として活用されているという点
については、資源の有効利用だと言えるとは思います。
ただ、やはりフカヒレを無制限に漁獲しているとしたら、それは資源保護以前
に種の保存に逆行することなわけですが、実際にサメ漁に何か制限があるのか
まではわからないので糾弾するつもりはありませんが、金持ちの道楽のような
食材を集めるために特定のサメ類を絶滅させても良いわけがないです。
例えば世界の海で、フカヒレを目的として行われているサメ漁について現在の
十分の一程度に漁獲制限をして、フカヒレの値段が10倍以上になったとしても
死ぬ人はいないわけですから、それで良いのではないでしょうか。
漁師さんは、10分の1の漁獲量で今まで通りの収入は確保できるわけですから
労働時間の削減に繋がり、燃料コストも下がり、サメの絶滅も食い止めること
が出来るのですから理想的ではないでしょうか。
大量に漁獲して単価が下がり、さらに大量に供給しないと燃料費にもならない
というような大量消費をする時代は終わりと言うか、規制を強化して強制的に
でも終わりにしないと。現在と同レベルの環境の地球を50年後どころか、その
半分の25年後まで持たせることさえ難しいと普通に考えたら思います。
生きていくのに必要不可欠ではない食材はフカヒレだけではありません。
フォアグラとか、キャビアとか、一般的に高級食材とされている珍味類なども
食べなくても死にはしないと言うか、逆に痛風などの生活習慣病の一因である
ともされているわけで、庶民としては食べられなくなっても痛くも痒くもない
というのが本音の部分ですから、高級食材とされている生物の漁獲を90%削減
するとしても個人的には何も困りません。
ただ、ホホジロザメについては、ヒレよりは装飾品として使われているアゴを
目的とした密猟が激減の原因ですので、象牙と同じくワシントン条約で制限を
かけないと乱獲は止まらないでしょうね。
アゴ一対で50-200万円ほどになる、とされていますから貧困な国の漁師さん
にとっては、巨大なホホジロザメを捕らえることが出来たら、海で拾った金の
延べ棒みたいな存在なので、なかなか密猟を取り締まることは難しそうですが
だから仕方なく放置では何も進まないですからね。
世の中のグルメとか珍品コレクターの意識改革が必要でしょう。