2020年06月27日

コロナ禍の中で観た「キャリー」

コロナ禍のために新作映画の上映は大半が延期になり「アベンジャーズ」から
派生した「ブラック・ウィドウ」=主演のスカーレット・ヨハンソンが、割と
お気に入りも公開延期になって残念な状況です。



映画館ではリバイバルというわけでもなく、玉不足状態を解消する手段として
旧作品が上映されていますが料金は半額ではありませんからね、それなら自宅
でネット動画ということで、以前から契約しているU-NEXTの出番です。


劇場公開からほんの僅かな時間しか経っていない作品とか、ほぼ新作の映画も
見ますがオリジナル作品とリメイク作品の見比べとか、簡単に作品を検索して
続けて観られるというのはいいなぁと外出禁止状態で思ったものです。

若かりし頃に見たスプラッターホラーの先駆けとも言えるような「キャリー」
も、シシー・スペイセク主演、ブライアン・デ・パルマ監督の1976年製作の
オリジナルとクロエ・グレース・モレッツ主演、キンバリー・ピアース監督の
2013年製作の作品を見比べました。


オリジナル作品 1976年


リメイク作品 2013年

サックリと映画の評価をするとオリジナル作品を超えられてはいませんね。
子供の頃から実際の流血シーンを見て育ち(お父さんは外科医)「血の描写」
にこだわりを感じるブライアン・デ・パルマ監督を超えようと思ったら相当の
演出力のある監督でないと難しいんじゃないのかな。

ハイスクールでクラスの同級生に虐められていたキャリーが、初潮を迎えても
厳格というか、パラノイア的な母親に育てられたために生理の知識がなく狼狽
するシャワールームで同級生たちが生理用品をぶつけて虐めるシーンの怖さは
どちらも女子の怖い部分がリアルで壮絶に描かれていましたが、残念なことに
クロエちゃんの場合どうしても「キック・アス」のミンディ=ヒットガールの
イメージがあるので、ゲロ下痢棒で復讐するイメージしか湧かないんですよ。



虐められて感情が爆発した結果、キャリーはサイコキネシス(念力)が目覚め
オリジナル版ではその力をコントロールてきませんでしたが、リメイク版では
さすがミンディというか、自分の力を研究して活用することを覚えていくので
ますます、オリジナル版とは雰囲気が変わっていきます。

母親に生理が始まったことを告白すると今度は母親が娘を虐めるようになって
子どものままでいればいいのに、女になんかなりやがって!みたいな…狂暴な
鬼母になるということで普通の感情として考えたら、そりゃ全員皆殺しにして
やるという方向に行ってもおかしくはない展開です。

そしていよいよクライマックス、学園祭で同級生たちの陰謀によって学園祭の
女王としてステージに立ったキャリーにバケツ一杯の豚の血が浴びせかけられ
一緒にステージに立った憧れの彼はバケツが当たって昏倒します。



いよいよ彼女の念力は極限の力を発揮して同級生たちの逃げ場をなくし水責め
電気ショック、紅蓮の炎によって次々に死んでいき、映画の流れとして同級生
や教師に同情の思いはなく、ざまあみろと考えてしまう悪い奴になった自分に
気付くのはオリジナルもリメイクも同じですが、このあたりの惨状は実写のみ
でしか表現できなかったオリジナルよりもリメイク版の方が描写が凄いです。

ラストシーンの話までしてしまうと、観たことのない人にはとても残念なので
やっぱりオリジナルでもリメイクでも良いので見てもらいたいですね。

女の子が女になるその時の心の動き、唐突にお股から出血することによる不安
大人になる喜び、体が成長して未知なる世界へと飛び出す期待などを凝縮して
一本の作品にまとめたのが「キャリー」という作品なんだそうで、そういう話
なら、やっぱり「血の描写」にこだわるブライアン・デ・パルマ監督の独壇場
ということになるんでしょうけど、オリジナルとリメイク作品の監督が同じと
いうのも変な話なので仕方ない部分もあったのでしょう。

スプラッターホラーではあるのですが、女の子が生理が始まる年頃の心の不安
と葛藤を疑似体験する青春映画だという見方も出来る映画だと思います。

posted by SUZURAN at 20:37| Comment(0) | シネマクラブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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